2006年11月29日水曜日

フェルマーの最終定理


学生の頃の友達が、「ガロアはほんとにすごいんだよ!天才なんだよ!」と言ってました。
なんでもその天才は女性関係で決闘して死んだとか。ちょっとロマンチックですね。

で、その程度に思ってたんですが、これを読んでると本当にすごい。
「群論」や彼の名をとった「ガロア理論」なんてまったく新しい概念を一人で発明してしまってます。群論は初めてみたとき、たしかにおもしろかった。
しかも、彼が数学を勉強し始めてから死ぬまでたったの5年。天才っているんですね。
後年は政治闘争にのめりこんで刑務所生活なんかもしてたらしい。さすがは天才。
結局、死ぬまで誰にもその天才を認められず、不幸につぐ不幸で、読んでて笑えてくるほどです。
普通に学校を受けたら、論理が飛躍しすぎて不合格。まあ、天才の言葉はそうかもしれません。
なのでアカデミーに論文を送ったら、受け取った人間が死んでしまい、審査さえ行われない。そんなアホな。
フランス革命のごたごたで父が自殺。
頭にきて政治闘争に明け暮れて、貴族と決闘して死亡。
なんか、いいとこないです。

てな感じにガロアのことが書かれた本、ではないです。いや、書かれてはいるんですけど。
数学が生まれてから、フェルマーの最終定理、
「x^n + y^n = z^n を満たす3以上の整数nは存在しない」
が解決されるまでの長い長い物語です。
ガロアはその物語に出てくる多くの人のうちの一人なんですね。

フェルマーの最終定理を解決する道筋が、あるとき決定的に変わります。
こういうのって、一歩がデンプシーロールを繰り出したとか、光君がものまねやったら投げる球もまねできた、とかそういう感動に近いです。
それまでは皆「フェルマーの最終定理」を解こうとしてたんですが、このとき以降、「谷山=志村予想」を解き始めます。
この予想が正しければ、フェルマーの最終定理が正しいことが証明されたんですね。
こんなところに日本人の名前が出てくるなんてうれしいです。
ちなみにこの谷山さん、やはり自殺してます。それも新婚さんなのに。

そして、フェルマーの最終定理がどうなったかは読んでみてください。
まあ、ぶっちゃけ証明されたんですけどね。


作者も書いてますが、この本は数学の話なんだけど、難しい話はそれほどでてきません。
「博士の愛した数式」にでてくる友愛数だとか完全数なんかは出てきます。覚えてますか?
というか、「博士の愛した数式」はこの本を読んでできたらしいです。
なんかわかる気がします。誠実な感じがします。

数学嫌いな人もこれを読んだら親しみがもてるようになるんじゃないでしょうか。
僕はおもしろくて徹夜してしまいました。
子供に一度は読ませておくべき本だと思います。

2006年11月27日月曜日

白夜行


友達に「原作のほうがよかったなあ」と渡されました。
なので後回しにしてたんですが、見始めたらもう大変。

割と客観的な感想から始めると、丁寧な脚本だと思います。
原作の白夜行のほうでは、二人の主人公は確か、絡むことはないはず。
ラストシーンで初めて顔を合わせます。読者から見ると。
二人の主人公がなぜ絡まないのか不思議に思う方はぜひ前作をどうぞ。そこがおもしろい。
二人の生活を描いていって、最後に「ああ、そういうことだったのね」でオチがつきます。

ドラマは、小説では最後のシーンから始まります。
なので、「一番最初に一番おもしろいところをやって話が持つのか?」と思ってました。
でも、その後は、小説では書かれなかった二人の交流や思いが話の中心になるんですね。
なので小説が表で、ドラマが裏って感じでいい感じにできていると思いました。
ドラマの話を小説でやったらチープになるし、小説の話をドラマでやったら途中で打ち切り間違いないし。
ドラマで主人公が顔を合わせないとか、恋愛なのかなんだかわからない、なんて無理だと思うので。

僕が見始めたらなんで大変だったのかというと、そりゃもう大変なんです。
綾瀬はるかのたれ目がエロいです。
やたら泣くシーンが多いんですが、そのうそ臭さがまたエロいです。
役的に泣き方がうそ臭くてもいいので、ほんとに泣き方が下手なのかどうかはちょっとわかりません。
ついでに子供時代の子役もかわいいです。
なんか、垢抜けてないかわいらしさがあります。「殺したのは、あ・た・し・だ・よ!」

そんな感じで、目を離せないドラマでした。
結構、ムダに長いシーンとか多いんですよね。
それでも止めれなかったのは、エンディングテーマの間も話が進んでいくからじゃないかと思います。
DVDでまとめてみてると、切れ目がないのでなかなか一息つけません。
今後のドラマは全部あれでいってほしいです。主題歌とかスキップするの面倒。

ドラマのラストは主人公達には救いのない終わり方ですが、見てるほうにとっては救われる終わり方になってます。
なので、小説を読んで気分が暗くなった後に見てみるとすっきりするかも知れません。

2006年11月10日金曜日

朱家角

上海近郊の古鎮、朱家角に行ってきました。
日本から来た友達の、「市外にも行ってみたい!」という気持ちを勝手に受け取りました。テレパシーってすごい!

まあ、ほんとは周荘に行こうと思っていたんですが、二人して寝坊したので乗り遅れたのは内緒です。
とりあえず上海体育館のあたりのバス亭に行きました。最近、”とりあえず”が多いような感じがするのは気のせいです。
「次の便はすごく先だなあ」ってことになったので、臨機応変、変幻自在に朱家角へ。

乗り物に乗ると寝てしまう僕はやっぱりすぐ寝てしまいました。
いきなり乗ってる人のほとんどが降りたので、びっくりした友達に起こされました。「げ。寝過ごした!」
と、思ったらみんな買い物でした。
途中にアウトレットのお店があるんですね。しかもちょっと前に雑誌に載ってたみたい。

「おぉ、これが!朱家角か!!」
と着いたのは、相変わらずの土産物屋だらけのところ。
実は買う必要がないらしい入場券を買って、三輪車に乗り込みます。

着いてから気づいたけど、二人ともとくに目的なし。
しょうがないので、入場券を見ながら回ることにしました。
最初は魚人の家。ワンピースを思い出すな。あの鼻がギザギザはなんて言ったっけ?
From 朱家角


まあ、船だとか、漁だとかの歴史についていろいろ勉強になりました。
この修学旅行コースがえんえん続きます。
From 朱家角


土器だとか、
From 朱家角


古い薬屋さん。今は精力剤しか置いてません。

ありがたい仏様の絵。
From 朱家角


僕、仏教嫌いなんですよ。近所の坊主のせいで。

古い郵便局。
From 朱家角


なかなかいい味だしてます。普通に感心しました。

途中、突撃となりの晩ご飯の気分でお邪魔してみました。
From 朱家角


なるほど。

現役の寺もあります。
From 朱家角


登ったついでに鐘を鳴らしてきました。
見張りすらいないやる気のなさだったので、居心地よかったです。
寺のてっぺんから見た風景。
From 朱家角


これですよ、これ。こういうのが見たかったんだなあ。いままで何をしていたのか。
From 朱家角


今度は船で移動します。
From 朱家角


これもなかなかよい感じ。まぐろ漁船もこんな感じかなあ。

お母さん、そのカッコ、やりにくいですから。ぼく男の子だよ。
From 朱家角

いや、ほんとに。女に男の気持ちがわかってたまるかい!べらんめー!!

橋。
From 朱家角


どんなに汚くても、やっぱり水はなんかいいです。

船から下りて、しばらく歩いていると終わりにたどりつきました。
From 朱家角


朱家角は終わり、世界が始まる。
なんだかさみしい景色です。

夕食の準備を見ながら帰ることにしました。
From 朱家角


片道1時間、しかも10元程度でたどりつけるので、気分転換にどうぞ。

2006年11月9日木曜日

通訳

生まれて初めて通訳を頼まれました。
バイリンガルの苦悩ってやつですか?まいったなあ。

いつものようにサイデリアでご飯食べてました。
するとやってきた中国人マネージャー。
「向こうの日本人が中国語話せないから通訳してくれ。」
おぉ。ついに僕もたどりついたわけですね。
この山に登り始めたのはいつだったか。
。。。ふ、ふもとがかすんでよく見えないや。な、泣いてなんかないやい!

で、ちょっとふんぞりかえりながら、旅行者っぽい日本人のところへ。
「デザートがまだ来ないんですぅ~」
「任せなさい」
というわけで、すりっと無事に解決しました。

でも、でもね。

メニューの絵を指しながら、「これっ。これ、まだ来てないのっ。」なんてちょっと恥ずかしいわけですよ。
さらっと中国語で言ってしまいたいわけですよ、もちろん。でもね、でもね、できないのー。
なので、それくらい自分達で言って欲しかったんですよ。指くらいもってるよね?食べちゃった??
日本語で話したって通じそうな感じがするんだけどなあ。ほんとに。
それをわざわざねえ。まったく、困った人たちですな。

といった感じの通訳デビューでしたが、まあ、つまり、もっと勉強しろってことですね。反省。

2006年11月1日水曜日

本は寝ころんで


小林信彦さんの本の紹介本。
最近読んだ推理小説だとかは全部この本の紹介です。

いやあ、それにしても世の中便利になったもんです。
僕はこの本、もう10年くらい持ってるんですね。
そういえば小さい頃から、「なんでもかんでもすぐに捨てるんじゃない!」と親に怒られてました。
なので、ここらでもう一度、声を大にして叫んだほうがいいかも知れないです。
「僕、この本、もう10年も持ってるー!」

まあ、僕がモノ捨てるの好きなのは今でもそうです。
身軽でいるのが好きなんですね。
で、思い立ったらすぐ捨てる。
学生の頃に憧れていた野田知祐さんがどこかで、「男は手荷物ひとつでどこにでも行けるくらいがいい」と言っていたので、自分の正しさを確信しました。

で、この本の場合は、中に書いてある本を読もう読もう読もうと思っているうちに10年経ってしまったわけですよ。
というかね、昔はここにある本を読もうと思ってもなかなか大変なわけです。
メモに書いて本屋に行く、のはメモするのが面倒です。
この本持って行く、と万引きに間違えられたら嫌だなあ。
それともこの本のある本屋に行って立ち読みしながら探す、のも気が引けますし。
まあ、つまり、面倒だったわけですよ。
しかも、だらだら紹介してるので、じっくり読みながら時々読みたい本を発見することになるので、これは立ち読みだとつらいわけですね。

パソコンの前でフムフムいいながら読んで、「あ、これは!」と思ったらamazonで購入。
なんて楽なんだ!インターネットありがとう。涙が止まりません。

てなわけで、10年越しに読み終わったので、この本も捨てます。
ちなみに、この人の書いたゼウスガーデン衰亡史はめちゃくちゃおもしろいです。
だから、この「本は寝ころんで」を買ったわけなんですが。
でも、実は、こっちの本で紹介されてる本はそれほどおもしろくもなかったんです。

なかなかうまくいきませんね。