2005年10月12日水曜日

正義論・自由論


土屋恵一郎です。
サブタイトルは「寛容の時代へ」。いいタイトルですね。

ジョン・ロールズの「正義論」の解説から現代の新興宗教や中絶の話に広がっていきます。
これが素敵。

この「正義論」、とてもおもしろいです。しかもわかりやすい。
自分のアイデンティティ(肌の色や髪の色、性別、信仰する宗教や出自など)”のみ”を知らない人がどんなルールや制度を選択するか、という設定です。これを「無知のヴェール」と呼んでいます。
この「無知のヴェール」の下では、自分に有利な(または不利ではない)ことを選択していくと自然と公共的な選択をしている、というところがおもしろいです。
つまり、特定の人種や宗教を優遇するルールを選択することができないんですね。自分がそれに属しているかは知らないわけですから。
そこで選択されたルールが正義である、と言ってるわけですね。

そしてこの考え方がただの学問で終わらないで、今のアメリカの政治にかかわっていることが解説されてます。
上の方法で決められたルールを整備するだけでは消極的な公平である、と考えるようです。
それまで不利益をこうむっていた人に積極的に利益を誘導する、これが「アファーマティブ・アクション」につながっていきます。

そして、オウム真理教などの新興宗教や、インドやイスラムといった異なる文化圏への寛容の精神とは。。。

と言った感じで話は展開していきます。
とても書ききれないです。が、どこをとってもおもしろいです。
こういうこと、ちゃんと公民の時間に教えてくれればいいのに、と思いますね。
そしたら「あれ、公民って科目あったよな?」なんて、今僕が悩まなくて済んでいるはずです。

いい本に出会いました。

0 件のコメント: