黄山にやってきたものの、一日中空回りしてしまいました。
ホテルのソファでバッグを抱きしめながら眠りにつきました。さむい、ひもじい。
(この記事は
黄山・地獄編のつづきです)
ちなみに、
「何だかとても眠いんだ。パトラッシュ・・」
みたいに天国に旅立った僕がこれを書いてるわけではないのであしからず。
トン、トン。
肩を叩かれました。
目を覚ますと、マッサージ嬢が。
ホテルについた直後、暇つぶしにうろうろしていました。
すると、サウナ・マッサージの看板を見つけました。
「あぁ、やっとお風呂に入れる。。」
そう思って、お風呂を注文すると、
「カードは無理だよ。現金で。あ、部屋番号でもいいよ。」
部屋なんてないですから。あったらきませんって。
そしたら奥にいたマッサージ嬢が、
「マッサージもしてくれるなら、ホテルの人に頼んであげる。」
いくらか聞くと、80元。絶対ぼってるでしょ。
大体サウナだけでも60元。小南国より高い。
「ふざけんなー!」
といってその場を去りました。
さらにうろうろして、唯一の夕食のりんごも食べ終わって、本も読み終わってしまって、でも意外に汗は乾かないもので、くしゃみが止まらなくなってきました。
「抱き合わせ販売でお願いします。」
そしたら、そのマッサージ嬢、ホテルの人に頼んでくれました。
「というわけでお願いね。」
最初に現金じゃないとダメって言ったヤツに向かって言ってました。。。お前かよ!
そんなわけで、サウナを使えることになりました。
シャワーはトイレと一緒です。しょぼいなー。でもかなり気持ちよかった。
シャワーを浴びる前に、着替えを持ってるか聞かれました。
いかにも持ってなさそうな荷物の量なんですが、ほんとに持ってないので正解でした。
そしたら、サウナで乾かせと。賢い。
シャワーで汗を流して、サウナでまたかいて、またシャワーで汗を流してるうちに服も乾きました。暖かい洋服、日なたの匂い!
部屋に戻ると、すぐに桶を持ってきてマッサージしてくれました。
「部屋は何階ですか?」
「ありません」
「は?」
なんかおそろしくみじめです。清貧なんて絶対にウソだ。
おまけにお腹もぐーぐーなってました。
そしたら、りんご(腐りかけ)とお菓子(クッキーが3枚だけ)を持ってきてくれました。泣けます、いろんな意味で。
その後、またフロントに戻って、ソファで寝始めたわけです。
なんか呼ばれてるみたいだったので、かすんだ目のまま起き上がると、手を引いて連れて行かれました。
ドアを開けると、2段ベッドがずらーっと。
どうやら従業員が休んでる場所みたいです。いろんないびきが聞こえてきます。
目に付いたベッドに布団と枕を準備してくれました。
なんかよくわからなかったけど、暖かかったのですぐにもぐりこんで、そのまま寝てしまいました。
その子はどこで寝てるんだかわかりませんが、その後も、2回ほど乱れた布団を直しに来てくれました。
おまけに、おでこもなでなでしてくれました。そんな気がします。夢かも知れませんが。
周りがざわついて目が覚めました。
もう朝のようです。
フロントに出てみると、日の出を見に行く人達が準備してました。
あのカップラーメンの匂いったら!!上海に戻ったら一番にカップヌードルを食べることに決めました。
僕は準備することもなかったので、足元が見えるようになるとすぐに出かけました。
日の出は6時とホテルに書いてあったけど、早めに出たので良い場所とれました。
薄明かりが射し始めます。
待ってる間、僕は座ってたんですが、この辺りから立ち上がりました。
そしたら後ろにいたお姉さんが、
「私、背が低いから場所代わって。」
んなあほな。
しばらくすると、周りの人民達が叫び始めます。
「太陽だー!!」
ごもっとも。
太陽は赤かったです。
そりゃ、おめー、どっかよその国じゃ、てーよーは黄色だとかなんとか言ってっけどよー。お天道様はー、だれが、なんと言ったって、あけーんだよ!ってなもんです。
まあ、実際のところ、大気の乱反射で地平と天頂では太陽の色は違うんですが、やっぱり太陽は赤いのでいいです。
太陽が昇りきった瞬間、また人民達が叫び始めます。
「帰るぞー!」
もうちょっとゆっくりしてもいいのに。
あらかた人がいなくなる間、朝日に照らされる山肌なんかを見てました。
寒くなってきたので、僕もホテルに戻りました。
このあたりの山って日本の山と違いますね。
日本が堆積型で中国は削られ型。
だから中国の山は急だし、土気もないです。
雪が積もってもスキーできないだろうなって感じです。
ホテルの喫茶店でコーラとコーヒーを飲みました。いや、別々ですよ。
でも、隣の食堂では朝食にカードは使えないらしい。
今思えば、そしらぬ顔で食べちゃって、それから「現金はない!」とか言えば清算してくれたような気もしますが、頭に糖分が回ってなかった。
で、昨日のマッサージ嬢を探したけど、結局見つかりませんでした。
まさに夢のように消えてしまいました。
まあ、ここは仙人の山なのですから。
仙女がいてもおかしくないかも知れないですね。
広西出身の仙女。いい人だったなあ。
いや、それとも男女平等の精神にのっとって、やっぱり仙人と呼ぶべきか。
今じゃ看護婦さんも看護師さんですし。
違うものを区別して呼ぶのは構わないと思うんですけどね。
男性だけ一般名詞が嫌なら、看護夫でもいいわけですし。これは失敗か。
「よしろう君、君はねー、盲腸になっちゃったんだよ。看護師さんにおけけを剃ってもらわないといけないんだけどー、鈴木看護師と佐藤看護師のどっちがいいかなー?」
「(えぇっ!?どっちも知らない人だあ。女の人だったら恥ずかしいなあ。)す、鈴木看護師さん。。。」
「はいー!よっしろうクンー!君のおけけはお姉さんにまかせておっきなさーい!!」
「(かああ)」
ってなこともなくなりますし。
うん。看護師でいいような気がしてきました。
結局のところ、一番高い山(蓮花峰)は、時間が遅かったから登れなかったのではなくて、今は登れないってことでした。
温泉といい、山といい、この連休中に改修とは。
なので、一番険しい山(天都峰)に登って、その後ふもとまで降りることにしました。
空もすっかり明るく、快晴です。
一番険しいと言ってるだけあって、修行度が高いです。
がけを真正面から垂直に上がっていく感じ。
スキーを履いてたら、「飛び降り自殺?」と思いそう。
写真だとうまく伝わらないのが残念。
山頂と勘違いした場所。
10分くらいぼーっとしてました。
柵越しの風景。
この階段を登ると、、、
こんなものが!
山のてっぺんとてっぺんを石でつないだような橋です。
実際、途中では橋の下に、ぽっかりがけが見えたりします。
心が震える!すごい気持ちいい!!いっそ飛び降りたい!!!
女の子が腰砕けになってしゃがみこんでました。
そのほうが怖くないか?すれ違うの、結構大変でした。
ここも山頂付近の出っ張ってるところ。
足元がなーんにもないです。すごい気持ちよさ。
ちょうど人も近寄って来なかったので、ぼけーーーっと眺めてました。
これは”居る”価値ありですね。
おにぎりとお茶があれば、弁当を食べるのに最高の場所でした。
下品な岩が威張ってる山頂を抜けて下山。
すぐに割りと綺麗にしてある階段がありました。
「あぁ、これぞまさしく空中庭園。」
「天国への階段だあ。」
いっちゃってました。まだ大人の階段も登りきってないのに。
それからはえんえんと下り道。
まだ余韻が残ってたので、休憩場所を見つけるたびに休んで、周り見ながらうっとりしてました。
そしたら、登りの間もずっと言われてましたが、すれ違う人みんなが、
「あ、スリッパだ。」
「あなたスリッパで山に登ってるの?」
「彼はおかしい。スリッパで登山なんて間違ってる。」
いや、サンダルですから。
途中からひざががくがくしてきました。
なので休む時間を長めにとると、もう結構汗をかいてたので、寒い。
この日は風も少し強かった。
おまけに喉はからからで、乾いた舌が塩の味でした。部活以来だなあ。
めまいもしてきて、こりゃダメだ。と思ったときに、ちょうどいい岩が。
日に焼けて暖かくなった(ちょっと熱い)岩の上でお昼寝。
すごい気持ち良いです。岩盤浴が流行る理由もわかりました。
でも、市内の岩盤浴は大腸菌や真菌の宝庫なので、黄山のほうがいいです。
ただし、空腹と水分補給には注意しましょう。
ふもとに着いて、市内までのバスはひたすら寝てました。
乗り換えのときに起こされて、立ち上がろうとしたら力が入らなくてこけそうになりました。
乗り換えた後のバス、来るとき13元だったのに帰りは15元だとか、なめたことぬかしてました。
さっそく全財産渡して勘弁してもらいました。
そんなこんなで無事に市内まで帰ってこれました。
世の中、行き当たりばったりでもなんとかなるもんですね。
ところで、今度、黄山に行く人がいたら教えてください。
僕の仙女にお礼が言いたいです。ほんとにいい子だったなあ。
せめて感謝の気持ちを手紙に書きたいです。