2005年9月9日金曜日

ひまわりの祝祭


以前に「日本に帰ったら手当たり次第に買ってこよう」といっていた藤原伊織さんの本です。
この本は麻薬です。どんなものを麻薬と呼ぶのか詳しくは知らないのですが、とりあえず危険です。

まず幻覚作用があります。
喫茶店で読み始めたんですが、数分後にはもう別世界。
おかわりを頼んだり、喫煙席に変えてもらったり、トイレが濡れていて転びそうになったときもなんだかリアリティがありませんでした。
人形劇の人形のように誰かに紐で操られているような感じです。僕の体はかろうじて僕の意識で動いているはずですが、それもなんだかひどく緩慢で、頼りない感じがしました。

そして常習性もあります。
一度読み始めたらやめられません。喫茶店の閉店時間まで読みつづけた後、家へ向かうタクシーの中や小腹が空いたので食堂でも読みつづけ、ベッドの上で最後まで読んでしまいました。
毎日1課は復習(または予習)する文法書と毎日CD半分を聞く発音練習をルールにしている僕ですが、やっぱりこの日も守られることはありませんでした。一度もないので比較としてはよくないかもしれません。

ちょっと気になったのは、全体的に会話に頼りすぎかなあというところでしょうか。
おもしろいからいいんですが、あらゆる謎が会話を中心に解かれていくので読んでいてしんどいです。会話中心な分、細かいところにいろんな情報があるわけですよ。というか、みんなちょっとしゃべりすぎ?
あと、展開が読めてしまうのはある程度仕方がない(だって、ハードボイルドだし、本の厚さでラストシーンだとわかるし)としても、”彼女”がなんでそこまでするかなあ?といった不満もありました。登場の仕方もべた過ぎるし。

多少の不満もあるけど、全体的にはおもしろすぎです。
中盤過ぎでは特にお涙頂戴の場面でもないのにせつなくて泣きそうになりました。
そんなこんなで、あまりに危険なのでこの人の本に触れるのは一週間に一冊だけと決めました。

藤原伊織やめますか?それとも人間やめますか?
まさにそんな感じ。

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